「これは元々体調が良くない時の治療用の魔道具だったそうだ」
「は…ぁ」
「腸内の内包物を取り除き、炎症に対する回復の効能を持ち、粘液の分泌を促す」
要は便秘とか腹下しとか、何なら食中毒時の手っ取り早い対処にも使う腸内洗浄の魔道具なのだろう。
使用方法はケツに突っ込む、だ。
それを殿下の手によって突っ込まれてる俺の気持ち、わかる?
なるほど治療用。それでこの大きさか。
「慣らしに使うものではない」
あ、はい。
返事をしようとしても喉からは小さなうめき声しか出ない。
それは殿下の手のひらだったら握りこめば見えなくなる程度の大きさだった。
洗浄には使えるが、正直殿下の殿下とは比較にならない大きさ。
毎回殿下手ずから洗浄くださった後に丁寧にほぐされるので…情事用の魔道具ならそこまでケアして欲しいなあ、そもそもどうゆう仕組みなのかなあなどと考えてしまったのだ。
情事に集中せずに思考し始めた俺に目ざとく気付いた殿下にいつも以上に焦らされ、散々に翻弄された。
「このように事後にも使える」
あ、はい。
胎に吐き出された熱と疼きが少し引いたような感覚があった。
のに、殿下はまだそれをねちねちと動かしていた。
「ん…っ」
もう終わったのに、そんな動かし方しないで欲しいのだが。
「殿下、もう…」
「もう終わり、とは言っていないが?」
汗で額に張り付いた金色の髪間から覗く、アイスブルーの瞳が近づいてきた。
「で…」
噛みつくように口を塞がれ、抗議の声は飲み込まれてしまった。
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